妊娠するためにBMIは関係ない?
病院の先生から体重を減らすよう(適正なBMI)に指導される方がたまにいます。
すんなりいかないのがダイエットです。
ダイエットをがんばり過ぎて逆にストレスなり、不妊の方もいるのではないでしょうか?
不妊症の原因の1つに挙げられる適正BMIですが、果たして大事なのか?
太っている方でも妊娠・出産しています。
逆に細すぎの方も妊娠・出産しています。
BMIの基準値は重要なのでしょうか?
WHOの妊娠に適したBMI基準値
WHOでは下記のように基準値を示しています。
・BMIの値が18.5以下なら低体重
・18.5〜25未満は標準
・25〜30未満は過体重
・30以上が肥満
そして妊娠しやすくするためにはBMIの値は18.5〜25.0の範囲内とあります。
低体重でも肥満でも妊娠・出産している方は当たり前のようにいます。
南米、北米では日本人より圧倒的に肥満が多いです。
肥満が多いが、日本の方が圧倒的に妊娠率が低いです。
なぜでしょうか?
日本は世界みてもBMIが低く痩せすぎの国
国によって平均体重が大きく異なります。
南米、欧米は大柄な方が多いです。
アジアでは反対に細柄(小柄)な人が多いです。
南米、北米のBMI>アジアBMIとなります。
国によって妊娠するために理想のBMIがあると思いますか?
下記は以前投稿した記事になります。
不妊症に対してのBMIのエビデンス 基準値が妊娠に有利?
東京大学の研究によると、妊娠しやすさに影響があるのは、AMH、年齢そしてBMIではないと結論づけています。
少なくとも35歳までであればBMIの影響はないとのことです。
では何が妊娠に対して影響があるのかは下記ブログからご覧ください。
ただし、BMIに関しては多くの研究があり、その内容・解答にはばらつきがあります。
下記はBMIに関する各研究機関のテーマ・結果です。
・やせと人工授精治療成績の関係
中国の廈門大学附属病院で人工授精を受けた6,407人の不妊女性患者の13745周期の累積治療成績
結果:やせの女性は正常体重の女性と比べて、累積妊娠率(20.71% vs 25.93%)や出産率(17.17% vs 21.61%)が低く、やせ過ぎても妊娠に影響を与える
・やせがART成績に及ぼす影響
中国で4,798周期の体外受精の新鮮胚移植における女性の年齢やBMIと妊娠率との関係を調べた研究
低体重(BMIが18.5未満)は妊娠率にマイナスの影響を及ぼし、特に年齢が35歳以上になると顕著になることがわかりました。
・肥満女性の減量が治療成績に与える影響
中国の研究者らは、不妊症の肥満女性が体外受精治療を受ける前に減量することが、治療成績にどのような影響を与えるかを調査
結果:肥満の女性が体外受精治療を受ける前に、3〜6ヶ月で5%以上の減量を行うと、その後の治療で投与するホルモンの量が少なくて済み、10%以上の減量を行うと、治療成績が改善する可能性が示唆
・男性も女性も、太りすぎとやせ過ぎは妊娠しにくくなる
アメリカ生殖医療学会
結果:男性も女性も太りすぎても、やせすぎても妊娠しづらくなるという調査研究結果が発表
・BMIは子宮内の着床環境を悪化させる可能性
カリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部の研究チームは、パシフィックファーティリティセンターで1999年から2007年の間に、349名の代理母による体外受精551周期の治療成績を、代理母の体格指数(BMI)別に調査
結果:BMIが35以上の代理母は35以下の代理母に比べて、体外受精による妊娠率が低く、移植のキャンセル率が高いことが、アメリカで実施された試験で明らかに
・BMIの高い肥満女性は流産しやすい
イギリスのシェフィールド大学が1964年から2006年に、実施された16の臨床研究のデータを統合して、5,545名のBMIの高い肥満女性と11,15名の標準体重の女性の流産のリスクを比較
結果:BMIが25以上の肥満女性は、19から25未満の標準体重の女性に比べて、1.67倍流産しやすく、卵子の提供を受けたり、排卵誘発剤を使った不妊治療を受けた肥満女性も、ぞれぞれ、1.52倍、5.11倍流産しやすいことが分かりました
・成人後の体重増が妊娠しやすさに及ぼす影響
ハーバード公衆衛生大学院の研究チームは、「看護師健康調査(2010-2014)」に参加し、妊娠を希望する女性看護師1950名を対象に、18歳時点と現在のBMI、その変化の度合いと妊娠しやすさ(妊娠までの期間)の関係を調査
結果:成人後の体重増、現在の過体重や肥満、18歳時点の低体重(やせ)は、いずれもわずかながら妊娠力の低下に関連
結局BMIはどうすればいいのか? 基準値にするべきか?
現在、BMIは基準値にした方が良いとされるデータが多いです。
しかし、BMIに対してそこまで重要視する必要はあるのでしょうか?
BMIより、食事、生活習慣、ストレスなど他の要因の方が妊娠率に影響を与えると思われます。
研究機関によっては、「不妊の原因は半分以上ストレス」と結論付けたところもあります。
他には、ハーバード大学の看護師を対象にした大規模調査では「食生活により2~3倍妊娠率が変わる」ともされています。
今回BMIのテーマですが、個人的にはBMIは気にしなくてもいいです。
南米・欧米の方は日本より遥にBMIが高いにも関わらす妊娠率が高いのですから。
BMIより食生活、生活習慣、ストレス、睡眠、性生活などの方が気にしなくてはいけません。
太っている方が適正BMIにすることは非常に困難でストレスがかかります。
BMIを適正値にするよりも妊娠するための効果的な方法は多いと思われます。