
近年、男性不妊の原因として注目されているのが「精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)」です。
これは、精巣の周囲を流れる静脈が拡張し、血液の逆流やうっ滞が起こる病気です。
実はこの精索静脈瘤、近年増加傾向にあることが報告されています。
なぜ増えているのか?そして、どんな影響を及ぼすのか?
最新の医学的エビデンスをもとにわかりやすく解説します。
🔹精索静脈瘤とは?
精索静脈瘤とは、精巣から心臓へ戻る静脈の弁が壊れ、血液が逆流して溜まる状態のことです。
足の「静脈瘤」と同じように、血液の流れが滞ることで局所的な温度上昇や酸化ストレスが起こります。
主な影響
- 精巣温度の上昇 → 精子形成の障害
- 活性酸素の増加 → DNA損傷
- 精子数・運動率・形態異常率の悪化
📈なぜ近年、精索静脈瘤が増えているのか?
① 座りっぱなしの生活(デスクワークの増加)
現代人は長時間のデスクワークや車移動が多く、
骨盤内の血流が滞りやすい傾向にあります。
特に股関節周囲の筋肉が固くなると、静脈の流れが圧迫されやすくなります。
🧠2020年以降のリモートワーク増加により、男性の下半身血流量が低下したという報告もあり(日本泌尿器科学会・2023)。
② 精巣温度の上昇(体温調節の乱れ)
パソコンを太ももの上に置いたり、タイトな下着を常用したりすることで、
精巣温度が慢性的に高くなることが増えています。
精巣は体温より約2℃低い温度が理想とされますが、
温度上昇により静脈の弁機能が低下することが確認されています。
🔬【エビデンス】
Agarwal et al., Fertility and Sterility, 2019
「精巣温度が0.7℃上昇すると、精子DNA損傷率が約25%上昇する」と報告。
③ ストレスと自律神経の乱れ
慢性的なストレスは、交感神経の緊張を高め、
末梢血管の収縮と静脈うっ滞を引き起こします。
ストレスにより血流が悪化することで、精索静脈瘤の進行や再発につながることがあります。
🔬【エビデンス】
Cho et al., Andrology, 2020
「ストレス関連ホルモン(コルチゾール)の上昇は、精索静脈瘤の重症度と相関する」と報告。
④ 男性ホルモン(テストステロン)の低下
テストステロンの低下も静脈瘤リスクに関与しています。
テストステロンは血管の弾力性を維持する働きがあるため、
低下すると静脈の壁が弱くなり、逆流しやすくなると考えられています。
🔬【エビデンス】
Li et al., Reproductive Biology and Endocrinology, 2021
「テストステロン値の低い男性では精索静脈瘤の発症率が有意に高い」。
🌿鍼灸でできるサポート
鍼灸治療では、骨盤内の血流改善・自律神経の安定化・ホルモンバランスの調整を通して、
精索静脈瘤による症状悪化を防ぎ、体質の根本改善を目指します。
🔸有効な経穴例
- 関元・気海・腎兪:下腹部の血流と内分泌系の調整
- 三陰交・足三里:自律神経と血行の改善
- 百会・印堂:ストレス緩和とリラックス作用
🔸期待できる効果
- 精巣周囲の血流改善
- 下半身の冷えや重だるさの軽減
- テストステロン分泌のサポート
- 精子の質(運動率・DNA損傷率)の改善
💬まとめ
精索静脈瘤の増加には、**現代的な生活習慣(座りっぱなし・温度上昇・ストレス)**が深く関係しています。
しかし、早期に対処し、血流や自律神経のバランスを整えることで、
不妊への影響を最小限に抑えることが可能です。
🌸ゆうしん治療院では、男性不妊・精索静脈瘤に対する鍼灸治療・YNSA・自律神経調整を通して、
「血流・ホルモン・メンタル」三方向からのサポートを行っています。