
体外受精(IVF)を始めると、
「採卵に向けて何かできることはないかな?」
「胚移植の前に身体を整えておきたい」
「子宮内膜や血流のために鍼灸を受けた方がいい?」
このように考える方も多いのではないでしょうか。
実際、不妊症に対する鍼灸の研究では、体外受精(IVF)と鍼灸の併用について世界各国で研究が行われています。
当院にも、これから採卵を予定している方、凍結胚があり胚移植を控えている方、次の治療に向けて身体を整えたい方などが来院されています。
今回は、
「体外受精に鍼灸を併用することには、どのような意味があるの?」
という疑問について、採卵・胚移植・着床・子宮内膜・血流という5つのポイントから分かりやすく解説します。
IVFと鍼灸は、それぞれの良さを活かして妊娠を目指す
体外受精では、
卵巣刺激 → 採卵 → 受精 → 胚培養 → 胚移植 → 着床
というように、現代の生殖医療技術を使って妊娠を目指します。
一方、鍼灸では妊娠に向けて、
身体全体のコンディションを整えること
を大切にします。
病院で行う体外受精と鍼灸は、どちらか一方を選ぶものではありません。
病院で必要な治療を受けながら、鍼灸によって身体の状態を整えていく。
このようにそれぞれの良さを組み合わせて妊娠を目指すのが、IVFと鍼灸を併用する大きな意味だと考えています。
① 採卵に向けて鍼灸を取り入れる
体外受精では、まず採卵に向けて卵胞を育てていきます。
この時期から鍼灸を始める方は多くいらっしゃいます。
採卵前の鍼灸では卵巣だけを見るのではなく、
・睡眠
・冷え
・胃腸の状態
・疲労
・ストレス
・月経の状態
・生活習慣
などを確認しながら、身体全体を整えていきます。
最近では、卵巣刺激を行っている期間に鍼灸を併用する方法についても研究が行われています。
採卵予定が分かっている場合には、採卵日だけに合わせるのではなく、少し時間に余裕を持って身体づくりを始めるのがおすすめです。
採卵3か月前から鍼灸を始めた方がいい?
「採卵の3か月前から鍼灸を始めると良いと聞きました」
という質問もよくあります。
卵胞は長い時間をかけて成長していくため、採卵直前だけではなく、ある程度余裕を持って身体のコンディションを整えるという考え方があります。
そのため、採卵まで3か月程度あるのであれば、良いスタート時期の一つです。
鍼灸と一緒に、
睡眠・食事・適度な運動・疲労・ストレスなどの生活習慣
についても見直していきましょう。
もちろん、採卵まで1か月の場合や、すでに採卵周期に入っている場合でも、その時点から身体づくりを始めることができます。
大切なのは、
「今の治療段階でできることを始める」
ということです。
② 鍼灸と血流の関係
不妊鍼灸で注目されているテーマの一つが血流です。
鍼刺激をすると、その刺激は皮膚や筋肉だけではなく神経系にも伝わります。
そして、鍼刺激による自律神経活動や局所・全身の循環変化について、さまざまな研究が行われています。
妊活というと「子宮だけ」「卵巣だけ」と考えがちですが、当院では身体全体の循環を考えます。
例えば、
冷えが強い。
肩や腰がいつも緊張している。
仕事から帰るとぐったりしている。
睡眠が浅い。
こうした身体の状態も確認しながら施術していきます。
③ 子宮内膜と鍼灸
胚移植が近づいてくると、
「子宮内膜は何mmありますか?」
という話が病院でも出てきます。
胚移植では、胚だけではなく胚を迎える子宮側の環境も大切です。
子宮内膜は女性ホルモンの影響を受けながら変化し、胚を迎える準備をしていきます。
鍼灸と子宮・子宮内膜周辺の血流との関係についても研究されています。
当院では子宮内膜だけを単独で考えるのではなく、
身体全体を整えながら、胚移植に向けて良いコンディションをつくっていく
ことを大切にしています。
④ 胚移植前に鍼灸をする意味
凍結胚移植の日が決まると、
「いよいよ移植だ」
と緊張する方も多いと思います。
この時期の鍼灸では、
・身体の緊張を和らげる
・リラックスしやすい状態をつくる
・睡眠を整える
・身体を温かく保つ
・身体全体の循環を整える
といったことを目的に施術を行います。
実は、不妊鍼灸の研究の中でも胚移植前後の鍼灸は非常によく研究されている分野です。
2002年にPaulusらが発表した研究では、胚移植前後に鍼治療を行ったグループで良好な臨床妊娠率が報告され、大きな注目を集めました。
その後、世界各国でIVF・胚移植と鍼灸について多くの研究が行われるようになりました。
現在でも研究が続いている分野です。
⑤ 着床に向けた身体づくり
胚移植の次のステップが着床です。
着床とは、移植された胚が子宮内膜と相互作用しながら妊娠が成立していく大切な過程です。
着床には、
・胚の状態
・子宮内膜
・ホルモン
・子宮内の環境
・胚と内膜のタイミング
など、さまざまな要素が関係しています。
だからこそ当院では、
「着床に良いツボだけに鍼をする」
という考え方ではありません。
身体全体を一つとして考え、その方の状態に合わせて施術を行います。
胚移植当日だけ鍼灸をすればいい?
胚移植前後の鍼灸について多くの研究があることから、
「移植当日だけ鍼灸を受ければいいですか?」
と聞かれることがあります。
当院では、移植当日の施術だけではなく、移植に向けて身体を整えていく過程も大切にしています。
例えば移植前から、
よく眠れる身体をつくる。
疲れをためない。
身体の緊張を整える。
冷えをケアする。
胃腸を整える。
こうした日々の積み重ねも大切です。
移植予定日が分かっている場合には、その日から逆算して施術スケジュールを考えていきます。
⑥ 移植後の鍼灸
胚移植が終わると妊娠判定までの期間に入ります。
この時期は身体のちょっとした変化にも敏感になりやすく、
「普段通り過ごしていいのかな?」
「身体を温めた方がいい?」
「鍼灸を続けてもいい?」
といったご相談もいただきます。
移植後は、その日の体調や病院での治療内容を確認しながら、身体をリラックスさせ、穏やかに過ごせるような施術を中心に行います。
妊娠判定後は、妊娠週数や身体の状態に合わせた施術へ切り替えていきます。
IVF中は自律神経を整えることも大切
体外受精を経験した方なら分かると思いますが、IVFでは次から次へと結果を待つ場面があります。
採卵数
受精結果
胚盤胞になった数
胚のグレード
胚移植
妊娠判定
治療が進むたびに緊張する場面があります。
鍼灸は自律神経への作用についても研究されている治療法です。
施術後に、
「身体の力が抜けました」
「身体がポカポカします」
「今日はよく眠れそうです」
と話される患者さんもいらっしゃいます。
身体を整える時間をつくることは、長くなりやすい不妊治療を続けていくうえでも大切だと考えています。
IVF+鍼灸は女性だけではありません
採卵というと、どうしても女性側の身体づくりばかりに注目してしまいます。
しかし体外受精でも、
卵子+精子
によって受精が起こります。
そのため採卵に向けて女性が身体を整えるのと同じ時期に、ご主人も生活習慣を見直してみることをおすすめしています。
特に、
・睡眠
・食生活
・適度な運動
・飲酒
・喫煙
・長時間の高温環境
・疲労
・ストレス
などは男性側でも意識したいポイントです。
体外受精だからこそ、夫婦二人で身体づくりをする。
これも当院が大切にしている考え方です。
体外受精(IVF)と鍼灸を併用する5つのポイント
最後にまとめてみましょう。
① 採卵
→ 採卵に向けて身体全体のコンディションを整える
② 血流
→ 鍼刺激と自律神経・循環との関係が研究されている
③ 子宮内膜
→ 胚を迎える時期に向けて身体全体を整える
④ 胚移植
→ 移植前後の鍼灸は世界的にも研究されている分野
⑤ 着床
→ 胚・内膜・ホルモンなどさまざまな要素を考えながら、妊娠に向けた身体づくりをサポート
体外受精は高度な生殖医療です。
そして鍼灸は、その治療を受けながら身体全体のコンディションを整えるための一つの選択肢です。
病院での治療と鍼灸、それぞれの良さを上手に活かしながら妊娠を目指していきましょう。

上尾ゆうしん鍼灸院の子宝(不妊)鍼灸
上尾ゆうしん鍼灸院では、タイミング法・人工授精(AIH)から、体外受精(IVF)・採卵・凍結胚移植まで、治療段階に合わせた鍼灸施術を行っています。
初回には病院での治療状況や、
次回の採卵予定・胚移植予定・月経周期
などについても確認します。
さらに、
睡眠・冷え・胃腸・疲労・ストレス・生活習慣
など身体全体の状態を確認し、一人ひとりに合わせて施術を組み立てていきます。
病院での不妊治療と鍼灸を上手に組み合わせながら、
一日でも早い妊娠と施術卒業を目指して。
「これから採卵だけど、いつから始めればいい?」
「来月胚移植だけど今からでもいい?」
といったご相談もお気軽にお問い合わせください。