
子宮内膜症は、女性の約10人に1人が経験する とされる疾患です。
「お母さんや姉妹が内膜症だったから、私もなるの?」
という相談はとても多い質問です。
結論から言うと…
✅ 子宮内膜症は “罹りやすい体質が遺伝する” ことがわかっています。
つまり、
- 子宮内膜症という病気そのものが直接遺伝するわけではない
- しかし、発症しやすい体質(炎症が起こりやすい・ホルモン反応の特徴・免疫のバランスなど)が親から受け継がれやすい
ということです。
🧬 遺伝に関するエビデンス(根拠)
① 母や姉妹に子宮内膜症があると 5〜7倍 発症しやすい
Stefansson et al., New England Journal of Medicine, 2002
アイスランドの大規模家系データ研究により、
遺伝的要因が強く関わることが証明 されました。
② 炎症やホルモン調節に関わる遺伝子 が関与
Zondervan et al., Nature Reviews Endocrinology, 2018
Melin et al., Human Reproduction Update, 2019
特に、
- 免疫反応に関わる遺伝子
- エストロゲン受容体に関わる遺伝子
が影響することが明らかになっています。
③ 一卵性双生児では一致率が高い
Treloar et al., American Journal of Human Genetics, 1999
同じDNAを持つ双子では、片方が内膜症ならもう片方も発症しやすい ことが示されています。
🌱 では「遺伝したら必ず発症するのか?」
❗️いいえ。
発症には 生活環境・ストレス・体内炎症 が大きく関わります。
✦ 発症に影響しやすい要因
| 要因 | 内容 | 影響 |
|---|---|---|
| 冷えによる骨盤内血流低下 | 自律神経が乱れやすい人ほど起こる | 生理痛・炎症を助長 |
| ストレス | ホルモン分泌に影響 | 排卵・子宮内環境に影響 |
| 腸内環境の乱れ | 体内の慢性炎症につながる | 痛みが強くなりやすい |
| 長時間の座位・運動不足 | 血流低下 | 内膜組織の代謝低下 |
→ 同じ“遺伝的傾向”でも、ケア次第で大きく変えられる。
🩺 東洋医学(鍼灸)が有効な理由
内膜症のキーワードは 「血流」と「自律神経」。
鍼灸はこれらにダイレクトに介入します。
| 鍼灸の作用 | 効果 |
|---|---|
| 骨盤内血流改善 | 子宮・卵巣の代謝促進 |
| 自律神経調整 | ホルモンバランス安定 |
| 筋緊張の緩和 | 痛みの軽減 |
| 体内炎症の抑制 | 生理痛やだるさの軽減 |
→ 遺伝で「なりやすい体質」でも、症状の進行と痛みを大きく抑えられる。
🌸 まとめ
| 内容 | 結論 |
|---|---|
| 子宮内膜症は遺伝する? | ❌ 病気そのものが遺伝するわけではない |
| 遺伝するもの | ✅ 発症しやすい 体質・免疫・ホルモン反応の傾向 |
| 発症を左右するもの | ✅ 血流・ストレス・生活リズム・食習慣 |
| 鍼灸の役割 | ✅ 体質改善で症状をコントロールできる |