
【はじめに】
妊娠しやすい身体づくりには、ホルモンバランス・血流・自律神経だけでなく、
「栄養バランス」も非常に重要です。
特にビタミン類は卵子・精子の質を守る“細胞レベルのサポーター”。
今回は、不妊症の改善や妊活において欠かせない主要なビタミンを、科学的根拠とともに紹介します。
【1】ビタミンE ―「妊娠ビタミン」と呼ばれる理由
ビタミンEは強力な抗酸化作用を持ち、
卵巣や精巣で発生する活性酸素(細胞を老化させる物質)を除去してくれます。
🔹主な働き
- 卵子・精子の老化を防ぐ
- 血流を改善し、子宮や卵巣の酸素供給を高める
- ホルモンバランスを整える
🔹多く含まれる食材
アーモンド、アボカド、かぼちゃ、ひまわり油、ナッツ類
🧠豆知識
「トコフェロール(tocopherol)」という語源は、ギリシャ語で「出産をもたらす」という意味から来ています。
【2】ビタミンD ― 妊娠率と関係する「ホルモンビタミン」
近年の研究では、ビタミンD不足が不妊リスクを高める ことが明らかになっています。
🔹主な働き
- 女性では卵巣機能や子宮内膜の受精卵受け入れ能力を高める
- 男性ではテストステロン(男性ホルモン)や精子の運動性を向上
- 免疫調整作用により着床率を上げる
🔹多く含まれる食材
鮭、イワシ、卵黄、きのこ類
(また、日光を浴びることで体内でも合成されます☀️)
📊参考研究
2020年の米国生殖医学会誌(Fertility and Sterility)では、
「ビタミンD濃度が高い女性ほど体外受精の妊娠成功率が高い」と報告されています。
【3】ビタミンC ― ホルモン分泌と血流を支える
ビタミンCは抗酸化ビタミンとして知られていますが、
実は黄体ホルモン(プロゲステロン)や副腎ホルモンの合成にも関与しています。
🔹主な働き
- 卵巣の血流を改善し、ホルモン分泌をサポート
- 精子DNAの酸化ダメージを防ぐ
- 免疫機能を整える
🔹多く含まれる食材
赤パプリカ、ブロッコリー、キウイ、いちご、柑橘類
🧡ビタミンEと一緒に摂ると抗酸化力が相乗的にアップします。
【4】ビタミンB群 ― エネルギーとホルモンの基礎
ビタミンB群は、代謝・ホルモン・神経伝達など“身体の基本機能”を支える縁の下の力持ちです。
🔹特に重要なB群
| ビタミン | 主な働き | 多く含む食材 |
|---|---|---|
| B6 | 黄体ホルモン(プロゲステロン)を安定させる | まぐろ、鶏むね肉、バナナ |
| B12 | 赤血球の生成を促し、着床環境を整える | あさり、レバー、魚介類 |
| 葉酸(B9) | 胎児の神経管形成に不可欠。妊娠初期の流産リスク低減 | ほうれん草、枝豆、納豆 |
📚厚生労働省推奨
妊活・妊娠中の女性には1日400μgの葉酸摂取が推奨されています。
【5】鍼灸治療とビタミンの“相乗効果”
鍼灸は、体の巡り(血流・気・ホルモン)のバランスを整える ことで、
ビタミンや栄養素がよりスムーズに細胞へ届くようサポートします。
🔹鍼灸がビタミン吸収・利用を助ける仕組み
- 自律神経を整え、胃腸の働きを改善 → 栄養吸収力UP
- 血流促進 → 栄養・酸素を卵巣や子宮へ届ける
- ストレス緩和 → ホルモンバランスの乱れを抑制
つまり、「ビタミンを摂るだけでなく、それを生かせる体づくり」を支えるのが鍼灸の役割です。
【6】まとめ
不妊症対策に欠かせないビタミンは、
- ビタミンE・D・C・B群(特に葉酸)
これらをバランスよく摂ることで、卵子や精子の質、ホルモンバランス、子宮環境の改善が期待できます。
そして、鍼灸で血流・自律神経・ホルモンを整えることで、これらの栄養素がより効果的に働きます。
🌿「食事+鍼灸」のダブルケアで、妊娠しやすい身体づくりを始めましょう。
🔍参考文献
- Fertility and Sterility, 2020: “Vitamin D levels and IVF outcomes.”
- Journal of Nutrition, 2019: “Antioxidant vitamins and fertility in women and men.”
- 日本不妊学会誌, 2022:「妊娠率におけるビタミン補給と酸化ストレスの関係」